スワッグ オム
SWAG HOMMES 2018 SPRING/SUMMER ISSUE6
2018.03.23
不定期刊
定価998円 (本体価格907円)
ISBN:9784779635793
“BACK TO THE OLD SCHOOL”
2018年、人類はまさにスマートフォンアディクトになろうとしている。それどころか、2005年にティム・オライリーにより提唱されたweb2.0時代から、AI(人工知能)× IoT(モノをインターネットに繋ぐ)時代といわれるweb3.0へシフトしようとしている現在、もはやデジタルテクノロジーの発展と進化を誰も止めることは出来ないであろう。
けして、否定しているわけではない。むしろ、デジタルテクノロジーを駆使することによりビジネス、プライベート問わず作業、業務効率は向上し、その分自由な時間を得ることが可能となる。その限られた自由な時間こそは、コミュニケーションも含めてデジタルテクノロジーによる効率化や簡素化を排除し、オフラインならではのアナログ的思考と感覚、そして身体をフルに活用したい。どこか社会全体も人間も無機質な方向へと向かっている現在のデジタル社会には、より一層アナログ的な人間らしさが求められるのではないかと、筆者は常々考えさせられる。
その現れなのか、ファッション、ミュージック、デザイン、アート、カルチャー等の最前線においては、いわゆる昔流の “オールドスクール”な方向へと巻き戻されているような風潮が強い。現在、インスタグラムの世界では、“ヴィンテージ”“ノスタルジー”“レトロ”“アナログ”といった “オールドスクール”なムードがあふれている。80年代、90年代、00年代の初頭に流行したファッションやブランド、デザインやロゴ、レコード、カセットテープ、ラジカセ、フィルムカメラ、クルマ、バイク、建築、さらにはディスコ、ヒップホップ、レイブ、スケートボードカルチャー等、プロダクトやスタイルだけではなく、あの時代のムードまでも含まれている。当時を原体験している世代どころか、ミレニアル世代やジェネレーションZ世代のインスピレーションの源になっているといっても過言ではない。
そして、ニュージェネレーションならではのフレッシュな審美眼、感覚と発想により、「どこか“オールドスクール”、だけれどもどこか新しい」……まるでヴィンテージプロダクトを解体、再構築した現代的なプロダクトのように、全く新しいスタイルやカルチャーが生み出されては、脚光を浴びているということも特筆すべき事実である。AIや機械では製作・製造が不可能な人間味のあふれるモノやコト、そしてストーリーが、あらためて評価されているのか、それともただ飢えているだけなのか、その真意は分からないけれど、加速し続けるバーチャルリアリティ(仮想現実)的な生き方を、どこか人類が拒んでいるような気がしてならない。
SWAG HOMMESはこの 2018年春夏号において、新旧の音楽をディグ&サンプリングしては紡いで構築していくようなアナログ的思考と感覚で、新しくもどこか人間味のあふれる“オールドスクール”なストーリーとともに、プリントメディアを通して新世代の感情に語りかけます。
SWAG HOMMES 編集長 奥澤 健太郎