DREAMER
SWAG HOMMES FW22-23 ISSUE15
PERSONALITY
時代を映し出すモード, ハイファッションの最前線をフィーチャーするフォトグラフィ マガジン, SWAG HOMMESのISSUE15がローンチ。
最新号のテーマは, “PERSONALITY”。ポジティブなエネルギーに満ち溢れ, 老若男女, 様々な人々が集うパリとパリ郊外のいくつかの公園を舞台に繰り広げられる巻頭ファッションストーリーでは, 国籍, 人種, 肌の色が異なる10人の個性派モデルが最新モードを纏う。本誌では最大ボリュームとなる54ページに及ぶルイ・ヴィトン/ヴァージル ・アブロー特集。ディオール, セリーヌ オム, サンローラン, バレンシアガ, フェンディなどのファッションストーリー。ロンドンをベースに各地のファッションウィークでリアルなストリートを撮り続けるYu Fujiwaraによるパリ, ミラノ, ロンドンのストリートファッションスナップ他, 国内外の豪華クリエイターを迎え, ハイクオリティ紙を採用したオールカラー248頁。
また, ラッパーのralph, ShowyRENZO, Elle Teresa, BAD HOPのVingo, 映画, TV, CMなどで活躍する俳優の清原果耶らがファッションモデルとして登場する。
“十人十色”
ファッションやミュージックは, 時代の潮流を映し出す鏡なんてよく言われるけれど, どこかのお偉いさんの台本のような, あるいは時代遅れな演説なんかよりもすさまじい影響力を放つ。ときには, たったひとりの気持ちや想いが, 社会や世界の景色を塗り替えることだってある。
カミングアウトアルバムともなった「channel ORANGE」で(メジャー)デビューを果たしてから今年で10周年を迎えるアヴァンギャルドR&Bの星, フランク・オーシャン。あの頃はまだ, ジェンダーレスやジェンダーフリー, LGBTQという言葉すら身近ではなかった時代である。ましてやヒップホップやR&Bシーンにおいてホモセクシュアル(男性同性愛者)は, 差別や軽蔑の対象であったにもかかわらず, 初恋の相手が男性であるということが打ち明けられたこの衝撃作は異例であった。男性への愛の告白を, 優しく美しくもメランコリックなメロディに乗せてスウィートにエモーショナルに歌うフランク・オーシャンを, ヒップホップシーンを越え て世界の音楽界が認めた瞬間でもあった。その影響もあってか, ホモフォビア(同性愛嫌悪)から脱却しようという風潮が高まったといっても過言ではない。
そしてこの10年の間で, ジェンダー問題だけではなく, 社会的にも文化的にも人種, 民族をはじめとするあらゆるマイノリティへの理解と多様性を認め合おうという価値観が定着し始めたことを肌で感じられるようにもなった。今となっては, ランウェイもパリのストリート(ファッ ションウィーク時)も個性豊かな黒人やアジア人たちで賑わいを見せている。モデルだって多種多様, 身長や体型, 年齢なんてもはや関係なくパーソナリティー(個性や人柄)を重視するブランドもめずらしくない。オーバーサイズを纏うビリー・アイリッシュに, どれだけのユースが魅了されているであろうか。そんな時代だ, 自由なマインドや自分らしさが尊重される新しい時代である。もし, そう感じられない人がいたら, それは自分の中に宿り続けている古くて 凝り固まった価値観から解放されていないだけかもしれない。あるいは周囲を気にし過ぎたり, 他人と比べ過ぎなのかもしれない。
“十人十色(考え方や好みなどが各人それぞれ違ってること)”でいいんじゃないの。自分にとって心地いいフィーリング(感覚・感触・直感)を最優先に信じて......。
SWAG HOMMES 編集長 奥澤 健太郎